破落戸雑記

無銘の破落戸が綴る雑記

初めてのキャンプツーリングと「集い」の話

旅の思い出

12月のとある週末に、初めてのキャンプツーリングに出掛けてきた。「自転車でキャンプがしたい」と思い始めて数年、機会を逃し続けていたがまさかこんな時期に初陣を迎えるとは思わなかった。というのも、その主目的は「きゃんつー集い」という集まりに参加する為。この集まりもまた、2年程前に認知してから憧れていた。リンクは去年の集まりの報告記、主催の醍醐漫氏によるもの。

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時期や装備の重量、日頃の運動不足を鑑み自走区間はほぼ最短になるように輪行をフル活用した。目的地は富士山麓のキャンプ場、駅から県道で一本のルートはもちろん除外。ナビに適当な徒歩ルートを引かせたところ上手いこと主要幹線を回避していたので採用した。

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商店街での小休憩を経て一本裏へ、比較的密集した住宅街が続く。住宅地の気配は一見、東京郊外と大して変わらないが、視界の端に居座る富士や緩い登りの連続に山麓であることを実感する。また用水路というか下水の配置が自分の馴染みのあるパターンと違い、家々の間を縫うようなルートと相まって個人の敷地に入り込むような錯覚に陥るのが新鮮だった。

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次第に民家の間隔が広がり、畑や雑木林が増えてきた。途中、通行止めに遭遇し警備員に迂回路を訊ね軽い世間話を交わす。向こうにその意図は無いだろうけど、勧められた道も心地好い景色だった。便利で偉大なナビの悪い部分は、起動した瞬間に主体性が失われることだと思う。もちろん今回はそれを承知で活用していたわけだけど、通行止めのような要素が入り込むことで咄嗟のアドリブを求められたのは良い刺激になった。

途中、自動車専用道路と立体交差する箇所があった。車に乗っている側からはよく目にするものの一瞬で通り過ぎてしまうし、わざわざ使うこともないローカルの道。「最短徒歩ルート」という市街地でしか使わないようなナビを充てがったが為の偶然だろうけど、自分の力で走り抜けるのは何とも気分が良い。他に通る人が少ないのかそれ以上に落葉が多いのか、枯れ葉の絨毯が厚い。左右の草木の背も高く見通しが悪いので熊鈴やベルを無駄に鳴らしながら陽気に進む。最後のアプローチは一本道で分かり易いが、買い出しや温泉に行くにも距離と地味な標高差が立ちはだかり、当初軽い気持ちで計画していた散策欲をへし折られた。買い出しも最短のコンビニで済ませた結果かなりひもじい(自分比)献立になってしまった。事前に調べていた良さげなダートに行けなかったのも悔やまれる。

予定時刻から少し早めに到着、チェックインし体が冷える前に荷解きを。まずヘリノックスを組み立て荷物置きに、そしてテント設営、シュラフ干しの順が自分のルーティンになりつつある。集まりの前泊日なので仲間は誰も居ない。平日で他の利用者の気配もない。寒さと気疲れもあって早めにシュラフに包まり暫くラジオなどを聴いてゆったり過ごした。

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翌朝は盛大かつ意図的に寝坊、撤収の心配がない朝を迎えられるのは連泊の醍醐味だと思う。この辺りは人によって感覚が異なるようで、自分のようなオートキャンプ出身の人間にとっては滞在型が性に合っている。当日は朝からグループチャットが盛り上がり、各々がそれぞれのルートで目的地を目指してツーリングを楽しむ様子が伝わってくる。一方、自分はキャンプサイトでひたすら呆けていた。

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夜に向けて火起こしに勤しむ。この日の目立ったタスクは薪の仕分けと、この火起こしのみ。持参した小型の焚き火台で無理やり薪を焼き少しずつ火を大きくしていく。少々不便ではあったものの最終的には別の焚き火台に薪を移し軽い調理ができる程までに育ったことが誇らしい。そして次第に集まり出す仲間との話が弾む。より大きな焚き火も増え、盛り上がりが増す。結果的に薪が無くなり火が消える頃までの半日、誰かしらと会話を続けていた気がする。前日のように静まり返った独りも自分にとっては欠かせない要素だけど、それとは別にみんなでワイワイ火を囲むのはとても楽しかった。

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翌朝は撤収と撮影、自分も真面目に撮影しておけば良かったなと反省。チェックアウト後は、復路の輪行に不安があったので早々に離脱。おかげで目立った混雑と被る事なく日没前に帰宅できた。

今回の積載について。

記念すべき第一回目、と言ってもワンデイのお出掛けやそれ以外の日常と境なく繋がっているので新鮮味は無い。車体は柳サイクル パスハンター、この車体もまた元を辿れば「集い」を認知し、光栄にもその中の人たちと知り合わなければ巡り会わなかったはず。不思議な縁だと思う。

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話を戻して。先日の改修にて、フォーク左右にダボを増設。バッグ類を圧迫していた飲み水がボトルケージに収まり前三角をフル活用できるようになった(前三角にダボ穴は無い)とはいえ車体側は工具や輪行関係、携行品と遠征サイクリングの必携装備が大半を占め、キャンプ関係のものはテントポールをトップチューブ下に忍ばせた程度。主たるキャンプ装備などは30Lクラスのバックパックに詰めた。当初は背負わない装備縛りを目指したが断念。ドカ積みも考えたが固定と操舵に不安があったので素直に背負うことにした。その分空いたフロントバスケットへは撮影機材など嵩張るもの、取り出す頻度が高く車体を離れる際に持ち歩きたい貴重品を纏めた。日中は脱いだウェアのやり場としても大変重宝する。輪行については下記のツイートを参照。

ハードモードの初回だったにしてはどうにか成り立っているが季節と装備量の関係が上手く噛み合った結果だと思う。装備を割り切れる時期であれば削れる要素は沢山あるし、そもそも暑い季節にフルサイズのバックパックを背負って走るなど考えられない。

最後に

今回は無理なく集まりに参加することを主目的として旅程を組んだけど、本来はこの予定を一手段として自身のツーリングを展開したいところ。生活圏から旅先へと強固な繋がりを感じられるフル自走は一つの理想として、土地の文化や地形との関わり、はたまた単純にダートが楽しいみたいなグルーヴ感だけでも良い、旅に繰り出す時は情緒を持ち合わせていたいと思う。

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