破落戸雑記

無銘の破落戸が綴る雑記

”Fuji Feather”③ 〜650B化について〜

こんにちは。

不定期で投稿しているFeatherについて、一年ほど前にインチダウンして650B化した件でTwitterからの問い合わせがあったり、個人的にも気に入っているカスタムなので同志が増えるきっかけになるよう改めて纏めておこうと思う。

Featherを見つめる中の人。
「本気(マジ)でカッコいいな」と見惚れている。

はじめに

今でこそ柳サイクル・パスハンターをはじめ、All terrainを走破可能な車体が手元にあり贅沢にも使い分けができているけど、Feather一台体制の時代はその一台で何でもやろうとしてた。当時自分が向かう方向としてはタイヤを太くしたい…が、キャリパーブレーキの700C車体は28Cが限度、32Cを入れられないか?を調べたり車体と睨めっこしていたほど。その延長線上にインチダウンという選択肢はあるものの、結局は現物合わせになってしまうので、最低でもリムとそれに準ずるブレーキキャリパーを用意できない状況では実現性は低かった。そんな中、友人がまさに650B化したFeatherを運用し始め、色々ヒアリングしたり実車を確認した結果、全く問題ないことが判明したので無事導入する事ができた。

その友人とサイクリングに出掛けた時の様子。
(たぶん)世界でたった二台のFeather 650Bが揃い踏み。

厳密な比較ではないものの、全体感を伝える為の比較画像を添付しておく。ここ一年強の間でインチダウン関連以外の走行に関わるパーツ変更はとても少なく、多少の融通の為のサドル・ペダル交換とハンドル周りの位置微調整のみ。それだけインチダウンによって成熟した、自身の最適解に辿り着いたのだと受け取ってほしい。

700C→650B プロポーション比較

前置きは程々にして、まずは手放しにおススメできない要素があるのでその説明から。大きく二つに分けて、ホイールの調達に対するハードルとタイヤの入手性。

ホイールに関して

自分の場合は行きつけのショップに適合するリムの在庫があったのでハブだけ持ち込んで施工を依頼した。「650B・リムブレーキ・シングルスピード」の完組みホイールは恐らく世に出回っておらず、手組みのスキルがあるか、依頼できるショップが身近にあるか、というのが導入の第一関門になる。施工について詳しくはショップブログに記録が残っているので併せてぜひ!

yanagicycle.blog.fc2.com

タイヤの入手性

リム自体の選択肢も数えるほどで、入手性も不安定。ただしリムは大事に扱えば長い期間使う事ができる。ここで、二つ目のタイヤの入手性が少し心配という話。ひと口に650Bと言ってもロードプラス系などのメジャーどころが使えるワケではなく観測範囲でクリアランスが確保できるのは38B/1.50というマイナーな番手だけになってしまう。大抵の銘柄は次点が42B/1.75で、これすら少数派だけど太過ぎて入らないはず(未検証)この領域のタイヤのターゲット層は古い車体を継続使用している人のはずで、稀にRiv.とかで履かせているのを見かけるかな程度に現行の車種ではなかなか採用されていない。売れない・流行ってないタイヤは廃盤になる可能性がとても高い。タイヤは生モノなので今は良くても長期的に運用できる補償がない。これに関しては26インチで散々ひもじい経験をしているので強調させてほしい。

雑にまとめると、700C→650Bのインチダウンではあるけど今風のディスク車のような手軽なニュアンスではなく、構成パーツや消耗品の入手性・将来性に不安材料がある。また調達できるものはそれなりに上等なものばかりで手軽な導入とはいかず、更に完成車価格を思い返すとより腰が重くなる、という感じ。

都内で暗渠散策を楽しんだ時の一枚。

雑感

ネガティブと注意喚起半々な内容を書き連ねたので気を取り直して「650B化はいいゾ!」な内容で盛り上げていこう。調達性に難ありとは書いたものの、現状ボチボチ手に入るものばかりなので導入するなら今が最適。自分にとってFeatherは数年間変わらず一軍の車体だけど、ステップアップの過程で乗らなくなり物置の肥やしになっている、なんて事も多いはずでそんな人に今のライフスタイルや価値観で再生させてほしいなと思ったりする。「Featherなんて…と思っていたけど、印象変わった」と話をされた事もある。中古市場がどうなっているか調べていないけど、これきっかけで車体を入手するのもありなのでは。フレーム自体の値は張らないと思うので、ホイールセットから完成車が生えたと思えばお得かも。もちろんFeatherは現行モデルなので新車から特大カスタムを施すのも大いにアリ、漢だね。2023年モデルだとトランクイルブルーとサーモンピンクなんか素敵。

www.fujibikes.jp

"Panaracer/PACENTI" PARI-MOTO 27.5×1.50

インチダウンの一番の恩恵としては、取り回しが良く漕ぎ出しが軽いこと。この「取り回し」というのは主観に因るものが大きいのだけど、車体全長や地上高が一回りコンパクトになった事で、大振りな乗り味や腰高感が軽減されたのだと思う。ここで心配なのが「クランクを地面に擦る」といった破綻だけど、一般的な乗車スキルの範疇では起きていない。「漕ぎ出し」に関しては、タイヤ周長の変化で実質的なギア比も変わるので明確。700C時から丁数を変えていないので巡航は劣るものの、普段26インチも扱う身としては全く苦にならない。むしろ初速の小気味よさなども鑑みるとゴー・ストップが多い街乗りでは丁度いい落とし所だと捉えている。38Bのスリックタイヤはエアボリュームの恩恵を受けつつも気怠さを感じない。固定ギアだとある程度の足合わせや抜重は気を遣う要素の一つだけど、その辺をタイヤに任せた雑な乗り方をしてもリム打ちの心配がないのも良い。ベースはグラベルキングなので、オンロードに加えて多少のフラットダートなども守備範囲内に入れつつ気楽に駆け回っている。クリアランスについて軽く触れておくと、フロントはフォーク肩下、左右幅ともに全く問題なし。リアはチェーン長に依存するので何とも確実なことを言えないけど、チェーンステー部分の奥行きは問題なし。左右幅はステー潰しの後端とタイヤ幅がビタ気味ではあるものの実走行には影響ない。エンドの目視基準でほぼ中央だけどもう少し詰めたほうが余裕が出そう。ブレーキアーチ側も問題なし。リムやタイヤの組み合わせでも変わるので、基本的に現物合わせのつもりで読み流してほしい。

GrandBois PAPILLON 650B 36H

DIA-COMPE BRS202

パピヨンを選んだのは36Hのハブを使う為の消去法、一択だった。TLR非対応でブレーキ面の切削も無い、見た目だけのリムと割り切っていたし、実際、使い始めは膜が張られたようなヌルいブレーキフィーリングだった。ところがある程度アタリが出て来るとキャリパーブレーキとしてはまずまずの効き具合。一般的にロングアーチは制動力が劣るはずだけど、そのマイナスも感じない。感覚的だけどシューはシマノ等のロード向けカートリッジ系に換装するより、純正のボテっとしたやつを使い続ける方が良いんじゃないかと思ってる。

そして、冷静な視点を向けるとリム自体の造り、剛性感も十分でおよそ自分が使い切れる製品ではないなと考えを改めた。一年強使っているけど、振れ取りの必要性は全く感じない。とても良いリムだと思う。購入前にオフィシャルサイトは見たはずだけど全く信用していなかった自分を反省。サイトの説明文から引用↓

ダブルウォール+ダブルアイレットで極めて剛性が高く、舗装路、ダート、キャンピング等どんなシーンにもお使いいただけるオールマイティーなポリッシュリムです。

cyclesgrandbois.com

まとめ

Featherという自転車はピストバイク入門として安価な完成車だけに、何かとんでもない事が出来るような車体ではないけど、無難に丈夫で普遍的な規格を持っている。そこに"インチダウン"という要素を落とし込んでみると、軽快さを残しつつも肩肘張らないで済むいい自転車に仕上がった。ちょうど先日のサイクリングに出掛けた時の装いや遊び方が、自分にとって上手いことハマり、この自転車の使い方として一つの解が見つかる瞬間でもあった。また大きな発見があるまでは、この形で乗り込んで成熟させていきたいと思っている。

"Fuji Feather 650B"

 

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